日本被団協の核兵器廃絶への思いを象徴する木製オブジェの制作をお手伝いしました
12月10日、長年にわたり被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた「日本被団協」(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞は、大変歴史的な瞬間となりました。授賞式にあわせてノルウェー・オスロのノーベル平和センターでは特別展「人類へのメッセージ」(2025年11月まで)が開かれ、広島・長崎の原爆投下後の惨状を伝える写真や絵、日本被団協の歩みを示す写真や資料などが展示されています。その会場に並べられた、1000人の被爆証言を表現する1000個の木製オブジェの制作をmore treesがお手伝いしました。
オブジェのデザインを手掛けたのはmore treesの代表を務める建築家の隈研吾。被爆地の木材を使いたいという思いから、more treesが日頃国産材を使ったものづくりでご一緒しているパートナーをあたって広島県産のスギ材を調達し、日本の職人の方々が手作業で仕上げた1,000個の木組が誕生しました。2枚の薄いスギ板を「かすがい」と呼ばれる日本の伝統技術でつなぎ合わせたこのオブジェは、被爆という人類が経験したことのない惨状を生き延び、支え合って復興を遂げた広島と長崎の象徴であり、人々の結束と平和への希望を表現しています。
“1,000個の木組は、日本の職人たちが一つ一つ丁寧に手作業で製作した。使用した日本杉は、美しい木目と、人の肌のような優しい色合い、そして柔らかな触感を持つが、同時に人間の体と同じく柔らかく、もろい素材でもある。
平和への強い意志がなければ、この繊細な人間という存在も、同じように繊細な地球環境も、すぐに傷つき、失われてしまう。
そのことを伝えるため、折れてしまうほど薄い日本杉の板を用いて木組みをデザインした。”―――隈研吾建築都市設計事務所Webサイト「ノーベル平和賞のためのインスタレーション」
ノーベル平和センターでは、この木製オブジェと同様に隈がデザインを手がけ、「かすがい」の伝統技術が使われているmore treesオリジナルプロダクト「tsumiki」も販売されています。
木の持つ「温かみ」とかすがいに象徴される「つなぐ力」が、核兵器廃絶に向けて人々をつなぐ一助になることを願ってやみません。