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森から森へ、多様な明日へ。鳥取県智頭町にて大学生向けツアーを開催しました。

9月18日~20日、鳥取県智頭町で第2回「未来へつなぐ森:共創プロジェクト」のツアーを開催しました。このプロジェクトは、「企業の森」の一環としてキャロウェイゴルフ株式会社様が中心となり企画するもので、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会に所属する各大学の学生を対象に智頭町でのフィールドワークプログラムを実施する取り組みです。

昨年に続き第2回となる今回は、中央大学と東京海洋大学でゴルフ授業に参加している7名の学生を智頭町に招いての開催となりました。3日間のプログラムを、ダイジェストでお届けします。

■森から森へ

町内にある天然林の視察からプログラムはスタートしました。智頭町で林業家として活動する合同会社MANABIYA代表 國岡将平さんと元鳥取大学教授 山本福壽さんのナビゲートのもと、森のなかを観察し、植林地に蒔くための種を拾いながら歩きます。

静かな川の流れにほっとしたかと思えば、腐朽菌による被害を目の当たりにするなど、森に入らなければ分からない森の姿もありました。拾い集めた種がこちら。 

種採りのあとは「キャロウェイの森」へ。キャロウェイゴルフ、智頭町、芦津財産区議会、そしてmore treesが協働で取り組むキャロウェイの森での森づくりは、今年で3年目。以前植えた苗木も育つなか、天然林で拾ってきた種を蒔きました。

やがて芽吹きますように。祈りを込めつつ、植林地を後にしました。

この日の最後は、芦津財産区のみなさんによる間伐作業の見学です。財産区とは、山林、ため池、墓地など、主にかつて共有地だった不動産を維持・管理する特別地方公共団体のこと。芦津財産区は、旧芦津村の地域住民による共同管理と自立精神の歴史と伝統に基づき、保有財産である森林を住民主導で保全しています。

大学生たちを出迎えてくれたのは、重厚な林業用の機械(プロセッサ)でした。

▲芦津財産区のみなさんは、森林保全の財源を確保していくために自ら育林し、伐採し、木材販売も行う自伐林業に取り組んでいます

人間ひとりでは動かすこともできない木が、機械によって持ち上げられ玉切りにされていく様子は大迫力。巨大なUFOキャッチャーのようでわくわくしながら作業を見つめている大学生もいました。ただ、作業には危険も伴います。労力もかかります。見学のあと、芦津財産区の綾木章太郎さんにうかがったのは、国産木材の価値がどれほど低下しているか、林業がいかに危機的状況にあるかというお話。この現実を若者たちはどのように受け取ったのでしょうか。

暮らしに触れて

2日目は、山すそからスタート。

晴れて気持ちのよい朝、バッタやカエルにもご挨拶しながら「よもぎ」を摘みました。

こんなにどっさり!全国から人が訪れる山里料理の名店「みたき園」にご協力をいただき、摘んだよもぎを使ってよもぎ餅づくりに挑戦します。

竈に火をくべながら大鍋にお湯を沸かし、昔ながらの知恵で囲炉裏の灰を入れてよもぎのアクをとります。隣の竈では、蒸篭からもち米のいい香りが。智頭町の芦津地区でとれたもち米100%です。蒸しあがったもち米とよもぎを混ぜ合わせ、搗きたてを千切って丸めたら、最後に石臼で挽いたきな粉をたっぷりまぶしてできあがり!

できたてほやほやのよもぎ餅。地域の方々に教わりながらみんなで手作りしたからこそ、おいしさも倍増。格別の味わいでした。

緑あふれる敷地をとことこ歩き回る愛くるしいチャボともここでお別れです。お腹も心も満たされたあとは、地域の方々との交流ワークショップへ。

智頭町には「百人委員会」という先進的な住民自治の仕組みがあります。すべての住民が参加資格を持ち、身近な課題や夢を話し合って町に事業を提案し、必要と認められた事業を自らの手で運営しています。全国に先駆けて智頭町ではじまった「森のようちえん」も百人委員会から出された事業のひとつで、あるお母さんの発案がきっかけでした。

この日は百人委員会から「ぐるぐる循環部会」の方々に集まっていただきました。町内の生ごみを集め完熟堆肥にして販売し、資源とお金の循環を生み出している事例などをうかがい、学生のみなさんも「サーキュラーエコノミー」の具体的なイメージを持てたようです。一方、ぐるぐる循環部会では地域住民の巻き込みに課題を抱えており、「どうしたら町全体の活動として発展できるか」とのお題に対して大学生とのディスカッションも行われました。

よもぎも、もち米も、大豆も、生ごみも、身近なものを「恵み」として暮らしていく。智頭町の人々が編み上げてきた豊かな暮らしの工夫をさまざまに感じる2日目となりました。

■時を重ねて

最終日の舞台は、旧山形小学校です。ああ素敵…。おもわずため息が出てしまいました。昭和17年(1942年)、智頭町の木材を使って地元の人々の手によって建てられた木造校舎は、はじめて来る場所なのにそこかしこに懐かしさを覚えます。平成24年(2012年)に閉校となりましたが、現在は国の登録有形文化財となり、山の魅力を伝える場として活用されています。

小学校の一角で九十九製作所をかまえる高橋将人さんを訪ね、智頭産木材などを活かしたネームタグづくりを行いました。テーブルには、表情もさまざまな木がずらり。ひとつを選び、高橋さんから手ほどきを受けながら研磨し、好きな文字や模様をあしらっていきます。

気づけばみなさん無言で作業に夢中になっていました。

 

ネームタグの完成です!

3日間で、ここには書ききれない経験もしてきた7名の大学生たち。先人が植えた木が子どもたちの学び舎になり、多様な人生の起点になったように、智頭町で森や人と交わり過ごした3日間が大学生にとってなにかの起点となり多様な未来へとつながっていけば嬉しく思います。

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