ストーリー

「丸太一本がその値段!?」60名の高校生を迎え「SDGs/社会問題スタディツアー」を行いました

株式会社Ridilover(リディラバ)が中高校生向けに企画・開催している「SDGs/社会問題スタディツアー」。教室という日常を飛び出して社会問題の当事者や最前線で解決を目指す人々と関わり、自分にできるアクションを考えていくための探究プログラムです。more treesは森林保全を通じ、SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」の課題解決に取り組む団体としてツアーの講師を担っています。

7月17日・18日の2日間、夏休みを目前に控えた高校生のみなさんと一緒にツアーを行いました。17日は神奈川県の高校1年生約20名、18日は東京都の高校2年生約40名が、ツアーの会場となる東京都江東区新木場の「木材・合板博物館」を訪問。照りつける陽射しのなか汗を拭いながら建物へ入ってきた学生さんたちでしたが、ひんやりとした部屋でほっと一息ついたところで、ツアーがスタートです。

ツアー前半はmore treesの嶋本がマイクを持ち、誰もがリアルな危機感を抱くようになった地球温暖化の問題と森林の関わり、世界の森林と日本の森林の違い、森林大国といわれる日本が抱える課題と木材としての活用方法などをお話しました。途中、いくつかクイズが出されると、意外な答えに高校生から驚きの声も上がります。

特にみなさんが驚いていたのがこちら:

森づくりには長い年月と多くの手間がかかることは知っていたけれど、丸太一本の値段がアルバイト2時間分ほどにしかならないという現実。首を傾げる子、メモを取る子、隣の友達と話をする子など、いろいろな反応がありましたが、想像していたよりもはるかに安い丸太の価格は、高校生の心になにかの引っかかりを残したようです。

ツアー後半は、木材・合板博物館のスタッフのナビゲートのもと、さまざまな樹種の木材を見て触れて五感たっぷりに体験する時間。大きさの異なるふたつの木片のうち、小さいほうを持つと実は世界一重い木材といわれるリグナムバイタだったり、ものすごく大きな丸太が実はとても軽かったりと、見た目とのギャップに驚きの連続です。

最後は「ロータリーべニヤレース」という機械の実演がありました。「合板(ごうはん)」の素材となる単板(別名べニヤ)を製造する機械で、丸太を回転させながら「かつら剥き」のように薄く削っていきます。極薄のヒノキが途切れることなくスルスルと出てくる魔法のような光景をじっと見つめる学生さんたち。「手で簡単に千切れるので、みなさんでちょっとずつ分けてお土産にどうぞ」と言われると、ある学生さんは「いい香り~。癖になります~。」と何度も何度も鼻を近づけていました。

♧合板の豆知識♧
木材を薄く剥いた単板(べニヤ)を、繊維方向が縦横交互になるように重ねて接着した板です。強度が安定していて加工性も高いため、DIYの素材から家具や建築の構造上重要な部分にまで幅広く利用されています。合板の原料となる木は、2000年代はじめまで9割を輸入に頼っていましたが、現在は9割以上が国産材。背景のひとつに、ロータリーベニヤレースに代表される「加工技術の革新」があります。

▲ロータリーベニヤレースから、1mmという薄さでヒノキの単板(べニヤ)が出てくる様子(木材・合板博物館のwebサイトより。)従来は加工が困難だった非常に堅い原木、柔らかい原木、あるいは20cm以下の小径の原木から、安定した品質で単板製造ができる機械を世界ではじめて開発したのは愛知県のメーカーでした。この技術革新によって国産の針葉樹間伐材なども合板に使われるようになり、合板生産における国産材の利用が急速に広がりました。

ツアー中、学生さんたちの素直な反応や質問には、大人の方がはっと気づかされる場面もありました。これからも世代を超えて森林についてともに考え、行動していく輪を広げていきたいと思います。

高校生のみなさん、暑いなかツアーのご参加ありがとうございました。

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