ストーリー

隈研吾デザイン「つみき」の面白さを再発見。WHAT MUSEUM「感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで –」

いまから9年前に生まれたmore trees オリジナルプロダクト「つみき」。建築家 隈研吾がまだmore trees 代表ではなかった時代に、坂本龍一から依頼をうけてデザインを手がけた作品です。従来の積み木のように塊を積むのではなくもっと自由で軽やかに「編む」ようなものを、という隈の建築哲学にも通じる想いが込められ、小さな子どもの遊び道具からおしゃれなインテリアやインスタレーションまでさまざまに楽しめるアイテムとして愛されてきました。

そんな「つみき」が、東京・天王洲のWHAT MUSEUMで開催されている企画展「感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで –」にあわせて、館内ミュージアムショップで販売中です。地震力や風力など抗うことのできない自然の力と向き合い、素材と対話し、一見ありえないような建築を成り立たせる「構造」と、構造を創造する「構造デザイン」の世界。建築の要でありながらあまり知られていない構造の魅力を、100点以上の構造模型を見たり実際に触れたりしながら体感できます。

▲WHAT MUSEUM史上最大規模の建築展となり、ミュージアム1階・2階全体で4つのテーマで展示が構成されています

ひとつめの展示エリアでは、サステナブルな建材として注目が高まる「木材」を使った建築がクローズアップされているとあって、more treesスタッフもさっそく足を運びました。まず姿をあらわしたのは、高さ3.6mもある法隆寺五重塔の縮尺1/10模型。現存する世界最古の木造建築が、1,300年以上もの時をいかにしてくぐりぬけてきたのか。その秘密がそこはかとなく感じられる骨組みの美しさに息をのみました。さらに会場内をすすむと構造模型がつぎつぎに登場し、more treesの活動地域「高知県梼原町」「熊本県小国町」「岩手県住田町」を代表する名建築の模型が展示されているという嬉しいつながりも。精巧な模型に秘められた構造の力にすっかり魅了されました。

more trees にゆかりのある地域の木造建築:

・〈梼原 木橋ミュージアム 雲の上のギャラリー〉
・〈小国ドーム〉
・〈小国町交通センター〉
・〈大船渡消防署住田分署〉

▲左は〈梼原 木橋ミュージアム 雲の上ギャラリー 〉縮尺1/60模型(建築設計:隈研吾建築都市設計事務所|構造設計:中田捷夫研究室)。「図面もコンピュータでつくるけれど模型は必需品。打ち合わせをするときに模型が目の前にあるとないとではまったく違う。模型があることで生物的に反応するようになる」と隈は語っています。

木造建築をテーマにしたエリアの先も、「構造」を軸にしながらファッションや月面構造物まで分野を大きくまたぎながらユニークな展示が続きます。ぐるりと巡って会場を出るころには、目に見える世界に変化が。そのままミュージアムショップに立ち寄り「つみき」と対面すると急につみきの「構造」が気になり、自由に「編む」ことのできるつみきの面白さの裏には、構造の秘密が隠れていることに気づかされました。

展覧会の会期は2024年8月25日(日)まで。ぜひみなさんも、「構造」の不思議を通して「つみき」のあらたな可能性を味わってみてください。


「感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで -」開催概要

会場:WHAT MUSEUM 1階・2階
会期:2024年4月26日(金)~8月25日(日)(11:00~18:00)/月曜休(祝日の場合は翌火曜休)
住所:東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫G号(Google Map
料金:1,500円/大学生・専門学生800円/高校生以下は無料
https://what.warehouseofart.org/exhibitions/sense-of-structure_second-term/

▲WHAT MUSEUMのファサードにある木のルーバーは、隈研吾がデザインを手がけたもの

▲ミュージアムショップに並ぶつみき。材料にはmore treesが森づくりを進める宮崎県諸塚村のスギを使用しています。「国産材のスギで小さな〈つみき〉を作りました。この〈つみき〉を重ねていくと家具も家も公園も作れます。小さな粒で世界を作る。そんな不思議な体験を共有しましょう。」(隈研吾)

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