ストーリー

世界森林認証「FSC®」を取得した宮崎県諸塚村の“森づくり”とは?

■FSC®マークとは?
製品などについている「FSC」マーク、見たことがあるという方も多いかもしれません。実はmore treesオリジナルプロダクト「つみき」のパッケージにも印刷されています。では、「FSC®」という言葉やその定義について、みなさんはご存知ですか?

FSC®認証とは、国際機関である森林管理協議会(FSC:Forest Stewardship Council)が、森林とその森林から生産される木材などの流通や加工のプロセスを評価し、認証する制度のことです。環境、地域社会、経済等に考慮し、持続可能な形で適切に管理された森林から生産された木材などに与えられます。

■諸塚村のFSC®への取り組み
「more treesの森」のある宮崎県諸塚村は、九州で初めて、また村全体での取り組みとしては日本で初めてFSC®認証を取得しました。FSC®には森林管理・経営を対象とした「FM認証(Forest Management)」と、認証森林の林産物の加工・流通過程の管理を対象とした「CoC認証(Chain of Custody)」の2つがあり、諸塚村では2004年に村の森林がFM認証を、木材加工センターがCoC認証を取得したことで、FSC®認証マークをつけた木材製品を取り扱うことができるようになりました。

more treesの「つみき」は、FSC®認証を取得した諸塚村のスギを使って作られており、製品にもFSC®マークが付与されているのです。

ちなみに、2005年には村の椎茸部会とJA日向諸塚支店もFSC®認証を取得し、世界でもめずらしい、FSC®認証マーク付きのしいたけを販売することができるようになりました。

こうした世界認証を取得した森の恵みを活かし、村の取り組みへの理解を深めようと、諸塚村では毎年「世界森林認証祭り」を開催しています。

≫「第11回世界森林認証祭り」の様子はこちら

先日3月24日に開催された「第11回世界森林認証祭り」では、more trees事務局長の水谷と、当時、隈研吾建築都市設計事務所に勤務され、「つみき」の開発プロジェクトに携わっていただいた神谷修平さん(2017年 株式会社カミヤアーキテクツ設立、同社代表)が登壇し、「つみき」の魅力や開発までのエピソードをご紹介しました。
 
イベント後は、諸塚村 企画課の矢房課長にご案内いただき、「FSC®」という観点も踏まえながら、村の森や林業、木材の加工現場等を見学させていただきました。

左から、矢房課長、神谷さん、水谷、河野(more treesスタッフ)

■諸塚村の森と林業

パッチワーク模様の「モザイク林」

諸塚村の山々には、スギやヒノキなどの針葉樹とともに、クヌギやコナラといった広葉樹の木々も育ち、「モザイク林」と呼ばれるパッチワーク模様の森が広がっています。針葉樹は主に材木として、広葉樹は村の特産であるしいたけを育てるための原木としても使われています。

 

スギの葉枯らし乾燥

ここはFSC®認証を取得した森の中でスギの葉枯らし乾燥が行われている現場。含水率の高いスギは、水分を抜くため、伐採後一定期間林内に放置し、枝葉が枯れるまで乾燥させます。こうすることで水分が抜けて軽くなり、運び出しやすくなります。

矢房さん:「10~11月頃に伐採し、3~4月頃に集材機で運び出します。梅雨に入るとせっかく乾燥させた木がまた水分を含み、虫も入りやすくなるので、その前までにすべて作業を終えます」

先人からの知恵を引き継ぎながら、自然や気候の変化に応じて林業が営まれているのです。

■諸塚木材加工センター

地元で伐採されたスギの丸太の多くは、諸塚村の耳川広域森林組合が運営する、諸塚木材加工センターに運び込まれます。ここでサイズや使用用途に応じて選別、製材されます。

FSC認証マークの付いた諸塚産の木材

CoC認証を取得したセンターで適切な行程を経て加工された木材には、「FSC®マーク」が付けられ、出荷されていきます。製材の際に出た端材などは、バイオマス発電の原料としても使われるそうです。

■木工所 もっくわーく那須

製材され、乾燥させた木材は、用途に応じさまざまな場所へ届けられます。そのうちの一つが「つみき」の製造現場である「もっくわーく那須」です。
木工所には「つみき」専用の加工場も設けられ、できたてほやほやの「つみき」が並んでいました。

もっくわーく那須の那須社長

建築的な要素も込められ、綿密な計算に基づいて設計された「つみき」は、各箇所の長さや角度などを再現するために正確な作業が必要となります。代表の那須社長は、生産性も考慮し、少しでも効率的に作業できるように機械や道具に手を加え、調整しながら何度も試行錯誤を重ねたそう。

那須さん:「最初の設計書を見たとき、これは大変だと思いました。でも、できないと思って簡単にあきらめたら面白くない。苦労して、工夫して、できあがったときは、やっぱり嬉しかったですね」

那須さんの建具職人として積み重ねてきた経験と技術、そしてたゆまぬ努力と熱意のおかげで、より短時間に正確な作業をすることができるようになり、精度の高い「つみき」が生み出されるようになったのです。

諸塚村の森の民宿「樹の里」を営む黒木家の息子さん。上手に「つみき」遊びを楽しんでいました

美しく豊かな自然が広がる諸塚の森と、森で育まれるさまざまな恵み。その魅力は、古くからの暮らしを今に引き継ぎ、さらなる高みを目指して取り組みを進める諸塚の方々の努力があって初めて生み出されています。

諸塚の森で適切に管理され、育てられたスギが、加工センターを経て、職人の方の手で「つみき」へと姿を変える。トレーサビリティの観点も踏まえ、さまざまな価値を持った「つみき」を、都市や世界の人々に届けていく。「都市と森をつなぐ」取り組みの中で、人々の姿や木の価値を伝えていくこともまた、私たちの大きな役割であると感じました。

多くの人々の手から手へ、丁寧に育まれた「つみき」が、一人でも多くの人の手に渡り、そのぬくもりが届きますように。

<関連記事>
≫今 伝えたい “ものづくり” を通じた “森づくり” の話

<参照>
諸塚村役場HP
耳川広域森林組合HP


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