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【コラム】輸出にチャレンジした4つの理由

水谷です。

ここまでパリ、東南アジア、ニューヨークでの海外販路開拓について書いてきました。

色んな反省点もありましたが、手前味噌ながら初年度にしては及第点かなぁと思っています。

ところで、ボクらはなぜ海外マーケットに目を向けたのか?

当たり前ですが、「輸出ってなんかいいよね」「海外出張っていいよね」なんていう軽い気持ちで始めたわけではありません。そもそもそんなノリで販路がつくれるほど甘くはありません。

ボクらにはそれなりの理由と算段があったんです。それは大きく4つあります。

①ブーメラン効果

国産材の需要(内需)を高めるには、日本国内での営業活動、PR活動が不可欠です。事実、これまでは国内に絞って国産材の普及活動に取り組んでいました。

一方で、日本の消費者は未だに「欧米コンプレックス」というか、言葉にできない西洋文化への憧れのようなものが深層心理の中に潜んでいるように思います。

欧米発のパンケーキ屋さんやポップコーン屋さんが日本に上陸すると、そこに大行列が起きてしまうのも一例だと思います。(ボクは個人的に「みんな本当にパンケーキが好きなの?ただメディアに踊らされているだけじゃないの?どら焼きじゃダメなの?」っていうひねくれた考えを持ってしまうんですが)

ならばそれを逆手にとって、もし日本のブランドが海外に評価された場合も、同じように日本の消費者の見る目が変わるのではないかと思っています。

ポジティブなブーメラン効果

とでも言いましょうか。

実際、日本のスポーツ選手でも、メジャーリーグでプレーしている野球選手や、ドイツのブンデスリーガで活躍しているサッカー選手は、「海外組」などと呼ばれたりしていますよね。

たとえ話が続きましたが、海外で日本の木製品が評価されれば、おのずと日本国内のマーケットも刺激されるはずです。

 

②国産材の現在地を確認したかった

日々、「国産材」「地域材」「地産地消」というキーワードに囲まれて仕事をしていると、ややもすれば国産材至上主義=輸入材排斥 のようなスタンスに凝り固まりかねません。

もちろん国産材、地域材の出口を拡げ、しかもその価値を高めていくことは、地域にとってそして森林・林業にとってプラスになることは言うまでもありません。

ところが、あまりそこにばかり気を取られると、木材そのものがマテリアルとして世界でどのように評価されているのか(外国人が木に対し「ぬくもりがある」とか「癒される」と思っているのか)という点が抜け落ちてしまいます。やはりそこは視野を広げてみる必要があります。でないと、いわゆるガラパゴス化してしまうわけですね。

そのうえで、国産材(特に針葉樹)がどのように評価されるかも知る必要性がありました。ボクらが「スギやヒノキの木目や香りはウケる!」という仮説を立てたとしても、実際の反応が異なったらとんだ勘違いですからね。

 

③地域の生産者を勇気づけたかった

ここ数年は木材自給率が少しずつ上昇傾向で、都市部で建築に木材を取り入れる動きも増えているものの、今の日本の林業を取り巻く環境はまだまだ良いとは言えません。

TSUMIKI宮崎県諸塚村(=「九州のマチュピチュ」と呼ばれる(勝手に呼んでいる)林業が盛んな村)から生まれました。村の生産者や関係者の皆さんに対して、「海外でこんな評価をいただきました」「海を越えてこんなショップでも取り扱ってもらっています」というフィードバックをすることは、少なからずモチベーションのアップにつながると思います。

ルーブル美術館に採用されたことを先日、村のイベントでご報告したのですが、皆さんとても喜んでくれました。村の中学生も「自分の村の木がこうして海外に出ているのは誇り」と言ってくれました。

おこがましいですが、林業に関わる現地の方に、明るい材料をもたらしたかったんです。

「あぁ林業やっていてよかったな」とか、「やっぱウチの村はスゲーぜ」と少しでも思っていただけたらそりゃこっちだって嬉しいですよ。

≪TSUMIKIムービー≫ 産地の様子も分かると思います↓

 

④隣の芝は青い

more treesプロダクトの海外デビューは2016年でしたが、2014~2015年の2か年にわたり、外部プロデューサーとして「苔玉」の輸出サポートをしてきました。

これはmore treesの協定先の一つ、新潟市のWPPCさんが生産する苔玉「MASUMOSS」を海外に輸出すべく、販路開拓をサポートするという国の補助事業の一環でした。 

これがMASUMOSS ↓

今だからぶっちゃけますが、あの当時に海外販路開拓などしたことのないボクが、いきなりパリとニューヨークに販路を開拓すべくお手伝いすることになったんです。最初は焦りましたね~ ^^;

結果的になんとか販路を作ることができたのですが、2年間お手伝いしている中で「他社製品のお手伝いもいいけど、自社製品のこともやれよ」って自分でツッコミを入れたくなったわけです。

当時、パリの展示会「Maison&Objet(メゾンエオブジェ)」にMASUMOSSが出展することになり、その応援でブースに立ったりもしました。そういう時「自社製品でもチャレンジしてみたい」という気持ちが沸々と湧き上がってきました。

 

そんな背景も踏まえて、ボクらは輸出に取り組むことにしました。

産地の皆さんの思いが込められたプロダクトと、少ないながら持ち合わせた経験値を携えて。

これまでの各国での奮闘は過去のブログにまとめています。

「海外販路へのチャレンジ~フランス編」
「海外販路へのチャレンジ~メールの正体は?」
「海外販路へのチャレンジ~東南アジア編」
「海外販路へのチャレンジ~NY編(前編)」
「海外販路へのチャレンジ~NY編(後編)」

やはり「継続は力なり」。2017年度も海外販路開拓は続きます。

 

水谷伸吉

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