【コラム】植えてからが肝心!フィリピン滞在記②
水谷です。前回のブログで「植林は、植えてからが勝負」ということをお話ししました。
今回の現地滞在中には、植えてからの経過を確認するためにサイトをいくつか回りました。
(このプロジェクトは、まとまった1つの土地に植えるのではなくて、150か所にも及ぶ、参加住民の土地に植えているんです。 こんな感じで)
↑白く囲われているのがplotです。
現場をまわって、特に嬉しかったのは
「土壌の流出が止まった」
「下の泉が枯れなくなった」
「植林エリアを拡張したい」
といった前向きな生の声が、参加者である地域住民から聞けたこと。
「ここはもともとトウモロコシ畑だったんだけど、植林するようになってから下の泉が乾季でも枯れなくなったんだ」と語る、Princesaさん
このプロジェクトにおいて一番重要なプレイヤーは、国や州政府ではなく、コミュニティだと思っています(もちろん行政による理解とバックアップも重要ですが)
プロジェクトによる手応えを、コミュニティの人たちが実感してくれたというのは、継続性の面においてとても重要です。
だって、いくら作業賃が支払われるといっても、そこにメリットを感じなければプロジェクトから抜けてしまったり、農地に転換されてしまったりすることも十分あり得ますから。
ちなみにこのプロジェクトでは、継続性を持たせるための「インセンティブ」も用意しています。
それは、植えた木が育つことで吸収されるCO2の量に応じて、コミュニティに対してボーナスを支払うというものです。
昨年、プロジェクトが開始されてから最初の第三者認証(Verification)が実施されました。それによって、植林された木が吸収・固定したCO2(クレジット)量が確定しています
(測定(モニタリング)シーン)
本プロジェクトには3つのコミュニティが参加しています。コミュニティ毎に土地面積や生育は異なります。それに応じてボーナスを案分し、コミュニティに直接支払うことにしています。
支払われたインセンティブの用途はコミュニティが希望する内容を尊重することにしています。
今回、予定している用途についてヒアリングしましたが、苗を生産する畑(ナーサリー)を拡張する、など主に共有財産への活用が予定されています。
CO2量を計量するのは原則として5年ごと。次の5年に向けて、きちんと苗を育てていくモチベーションにつながっていけばと思っています。
植林活動を継続するには、モラルだけでは成り立ちません。
いくら綺麗ごとを並べたところで、豊かな暮らし(経済発展)を目指す地域の人たちにとっては、生計向上のほうが重要だったりします。
確かに水源や土壌の保全という面でも成果が出始めているようですが、さらに草の根レベルで経済的にもメリットを感じてもらえるようになれば、このプロジェクトの地域密着度が高まると考えています。
インセンティブはそうした意図で設定することにしました。
こうした成果かどうかはわかりませんが、現地に通うにつれて、集会への出席者数が多くなっているように感じます。
(地域住民、NGOらプロジェクト参加者の青空ミーティング)
現地と交わしたプロジェクトの保全契約は2028年まで。
少なくともそれまでは、しっかりと地域に寄り添っていきたいと思います
(その時はボクは50歳か。。。)
とにかく、現地で日頃プロジェクトを管理し、参加住民との対話を地道に続けているローカルNGOのPEDAI、Conservation International Philippine、そして窓口となっているConservation International Japanの皆さんにも改めて感謝申し上げます!
水谷伸吉