ストーリー

【コラム】仮設住宅プロジェクト ③ 岩手県住田町

翌日に向かったのは、岩手県住田町。

ここは陸前高田、大船渡といった沿岸の地域から一つ内陸に入った町で、林業が盛んな地域として知られています。

既に町主導で、地域材を活用した建設がスタートしているということを地元紙の記事を知り、建設を受け持っている住田住宅産業の社長さんにお時間をいただきました。

ここではすでに13戸の建設がスタートしています

一般的なプレハブ仮設住宅では、夏暑く冬は寒いという問題がこれまでの震災でも指摘されてきました。

夏はエアコンが効かないくらい室温が上がり、冬は壁が薄いのでとても寒く、内壁や天井の結露が激しいことがしばしば取り上げられています。中越地震の時にも、結露はかなり問題になったそうです。寒冷地では特に結露対策は重要だと思います。

その点、木材は吸湿効果もあります。また、こちらの場合では壁が3層構造になっていて、中間層に断熱材を入れているのでプレハブよりも断熱効果が期待できそうです。

住田町は木質ペレットの生産もしている地域。もしここにペレットストーブが入れば、エネルギーの地産地消にもつながるでしょう。

住田も栗原や登米と同じく、内陸なので震災によるダメージはかなり小さい。

そこで、仮設住宅は陸前高田や大船渡といった沿岸地域の被災者受け入れを想定しているとのこと。

きっと喜ばれるでしょうね。

町では、100棟を自前(単費)で取り急ぎ建設する予定。もし今後、増産の必要に迫られた際には、是非何らかご一緒できればとも思いました。(間違いなく100棟では足りなくなるでしょう)

とにかく、仮設住宅を 民間の力で、地域材を、そして地元の工務店で建てるスキームを立ち上げねば!と強く思った次第です。

ただ、それには地元市町村の理解と協力も必要。

それは、土地(公有地)の提供とインフラの面。

我々は一度に何千棟も建てる費用も実力もないですが、集落単位での建設や、ちょっとしたスペースの公有地に、ぬくもりのある仮設住宅を建てたい、という声があればその一助にはなれるかもしれない。むしろ、地元の工務店さんとの建設であれば、そうした規模のほうが動きやすいはず。

現時点では、法制度の壁や県庁の理解、といった部分でまだまだハードルはあります。

ただ、それをクリアしながら着実にこのプロジェクトは進めたいと思っています。

もう後には引けない。

(終)

水谷伸吉

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