【コラム】「マーケット・イン」か「プロダクト・アウト」か??
最近つくづく思うことがあります。
それはモノづくりにおいて、「マーケット・イン」であるべきか、「プロダクト・アウト」であるべきか、ということです。
ボクらの言うモノづくりとは、国産材(とくに針葉樹)を活用してどのようなモノが普及できるか、ということが今のミッション。
そこで思うのが、
都市側(消費者)のニーズをフィードバックして商品化にもっていく「マーケット・イン」か、
山側の加工設備や技術の中で、さらに針葉樹の特性を出した商品を投入する「プロダクト・アウト」か、という考え方。
個人的には、どっちに偏ってもダメなんだと思っています。
確かにこれまでは市場のニーズではなく、山側の都合(乱暴な表現かもしれませんが)でモノづくりが進み、結果として売れないというケースも少なからずありました。
そういう観点では、市場のニーズやトレンドをしっかりとキャッチし、それをモノづくりに活かす「マーケット・イン」の概念はとても重要。
ただ、そこで危険なのは、マーケット・インを深堀りした時に起こりうる弊害です。
たとえば、
①ある地域と一緒に消費者のニーズを踏まえたデザインや機能の家具を作ると想定します。
②試作を試みたものの、地元にはそれを生産するだけの設備が無いことが判明。しかも、針葉樹だと強度が弱く、そのデザインを再現する加工ができない。さらにはコストの問題で、国内では消費者が満足できる価格で提供できない。
③ 広葉樹だと加工ができることがわかる。しかも、コスト的な理由から中国で生産することに。
これはあくまでたとえ話ですが、結果的にその商品が売れても、こんな流れになってしまったら山側にとっては支離滅裂です。
なので、マーケット・イン一辺倒とか、プロダクト・アウトに偏る、というのではダメなんだと思う。
森づくりと地域づくりを目指すうえで、その地域の加工技術や材質は十分理解しないといけません。ボクらだけでなく、デザイナーさんも然り。
それを踏まえてマーケット・インの風をフィードバックし、売れるモノをだしていく!
けど、地域の加工技術が発展するためには、もう一つ上のモノづくりを目指さなくてはいけません。でないと中国やベトナムに木工の技術はどんどん抜かれていってしまいます。
となると、プロデュースしていくモノは現状の技術よりも少し高い位置のレベルが要求されるモノのほうがいいな。。。
加工技術が優れた日本の生産現場に集約する?けどそうなると、一点集中で地域には還元されないし。。。
うーん、最近そんな自問自答を繰り返してます。
都市と森をつなぐ立場ならではの課題!?
水谷伸吉