【コラム】万能薬!?
カーボンオフセットのクレジット(J-VER)が徐々に盛り上がってきました。
都市側としては、遠い海外のクレジットよりは日本の森でオフセットするほうが親近感が持てるし、山側としても間伐を進め、林業を活性化できるという期待が高まっています。
それは凄く素晴らしいことです。
が、その期待感が先行してしまっている感も否めません。
冷静に試算すると、オフセット単体でそこまで莫大な利益が山側に還元できるかは疑問が残ります。
J-VER化するためには申請書を準備し、プロジェクト認可後は計画通りに間伐をすすめ、それをモニタリングしなくてはいけません。さらにはその結果を第三者認証機関に検証してもらう必要もあります。
もちろん煩雑な手続きやコストは今後軽減されるべきですが、それでも最低限の労力とコストは避けて通れません。
J-VERはあくまで山を元気にするための「手段」であって「目的」ではありません。
J-VER化したあとにどのようなステップを見据えているかで、J-VERでとどまるか、それを踏み台にできるかが左右されると思います。
たとえば、間伐材をこれまでにない販路に開拓する、林業の高効率化をすすめる、エコツーリズムを展開して都市側との人的交流をすすめる、など。
こうした水平展開をして、初めてJ-VERは本質的機能を果たすと個人的には思っています。
つまり、J-VERは万能ではないし、補助金の代替でもない。
体質改善の手段なんです。(都市側も同じで、低炭素社会や国産材利用を進める、といった体質に改善するきっかけだと思ってます)
もちろん、我々は都市側、山側それぞれの体質改善をお手伝いする役割があるんだと自任しています。
J-VERのいい事例を増やすうえでもがんばらねばなりません。
都市側の皆さんもご協力よろしくお願いします。
そんな国内の話をしつつ、明日からフィリピンに行ってきます。
でも国が変われど、オフセットクレジットが万能でないことは同じ。
水谷伸吉