【コラム】本格始動!フィリピンの植林プロジェクト
more treesにとって、海外第1号(通算4号)のプロジェクトとなる、フィリピン・キリノ州での植林プロジェクトが、いよいよ本格始動にむけて動いてます。
プロジェクトのクオリティを第三者の認証機関に検証してもらうプロセス(バリデーション)に移っており、その現地審査(フィールドレビュー)が6月21日より進行中。
これは2009年1月に撮影された、再植林予定地の様子。
見ての通りかつての熱帯林は草原化してしまっています。
そもそも植林プロジェクトによってカーボンオフセットする場合、京都議定書で認められたクレジット(排出権):CER もしくは一定の基準をみたすVER(Verified Emission Reduction)のいずれかを生み出す必要があります。
「苗木1本でX年間にXX kg吸収する見込みだから、1000本でざっくりXXXトン吸収」
と自前で計算して、それをオフセットに用いるのもできなくはないですが、それではあまりにも第三者の信憑性に欠けるからです。
事実、過去には「マンゴーツリー事件」なるものが話題になったことがあります。
イギリスのとある有名ロックバンドが、同じくイギリスのカーボンオフセットプロバイダー経由でインドにマンゴーの木を1万本植林して、アルバムのオフセットを行おうとしました。
しかし実際には住民の理解と協力が得られず、かつそもそも気候がマンゴーの木に合わなかったようで生育が思わしくなく、当初想定されたCO2吸収量に達しなかったという事例です。
こうした事例からも、プロジェクトのクオリティが担保された結果のクレジットである必要があります。
VERは、京都議定書には準拠していませんが、そのルールとそん色のない、民間ベースのスタンダードのことを指します。(日本のJ-VERは環境省主導ですが)
世界的にVERにはいくつかのスタンダードがありますが、今回のフィリピンの場合は
Voluntary Carbon Standard (VCS)というスタンダードを採用してます。
また、これは必須ではないですが、CCBスタンダードという基準も取得中。
CCBとは、Climate,Community,Biodiversityのすべてが一定の基準をクリアしたプロジェクトであることを認証してもらう基準。
そもそも植林によってCO2吸収を高める場合、その気になれば地域住民を締め出して早生樹をひたすら植えることも可能です。
しかしそれでは地域の社会経済にはプラスにならないし、単一樹種(モノカルチャー)では生物多様性の面でも劣ります。
そこで今回はCCBスタンダードを取得して、植林活動がCO2吸収、地域社会、生物多様性のすべてにおいてプラス(=co benefit もしくは multi benefit)であることも担保しようと考えています。
CCBについてはコチラ。
このうち、
「Forest Carbon Project in Quirino Province, Sierra Madre Biodiversity Corridor, Luzon, Philippines」
というプロジェクトが当該プロジェクト。
8月には現地に行こうと思ってます。
台風がちょっと心配です。
水谷伸吉