活動地域

フィリピン キリノ州

シエラマドレ山脈に抱かれた大地

フィリピンは森林荒廃が深刻な国のひとつです。20世紀はじめには国土の約7割を占めていた森林が、2010年には約3割弱にまで減少しています。日本は、戦後間もないころからフィリピンの木材を輸入しはじめ、1980年に枯渇の恐れが深刻化するまでフィリピンの森林資源に大きな影響を与えてきました。

日本の発展に深く関わってきたフィリピンの森への恩返しの意味も含め、more treesは2009年、ルソン島北部のキリノ州マデラ市を中心に、植林プロジェクトをスタートしました。対象地の面積は約180ヘクタールで、東京ドームおよそ40個分の広さに相当します。現地の3つの住民組織(地域コミュニティー)とともに150か所以上の区画で植林を行い、定期的な経過観察を続けています。

この地域一帯はフィリピンの生物種の約半分が生息しているといわれています。その生態系の保全のため、本プロジェクトの植林は在来種の木を中心としています。植林後も適切な森林管理を推進することで、生物多様性の保全にも貢献しています。

一方この地域では、約半数の世帯が年間1,000~2,000ドルで生活しています。本プロジェクトではアグロフォレストリー(果樹も同時に育てること)を導入することで、収穫した果実の販売による現金収入の機会を創出し、地域の貧困改善も目指しています。

また、植えた木の生育度によるCO2の吸収量を計測し、その成果に応じて参加コミュニティーにボーナスを支払うことで、ただ木を植えるという作業だけではなく、継続して育てることが経済的にもメリットになる仕組みを取り入れています。参加住民からは「土壌の流出が止まった」「下の泉が枯れなくなった」といった声も聞かれ、水源や土壌の保全という面でも成果が出始めています。

本プロジェクトは、民間のカーボンプロジェクト認証「VCS(※)」に、日本の組織として初めて登録されました。また、プロジェクトの気候変動対策や地域社会、生物多様性への効果を評価する「CCBスタンダード(※)」による「ゴールド認証」を取得しています。VCSとCCBスタンダードの両方を取得するケースはアジア初です。

※VCS(Verified Carbon Standard):自主的炭素市場における温室効果ガス排出量削減・吸収プロジェクトから発生するクレジットについて、その品質を保証するための基準

※CCBスタンダード:climate change(気候変動)、community(地域社会)、biodiversity(生物多様性)の各分野における効果を第三者の認証によって評価する国際基準

植林された苗木
アグロフォレストリーの一環で植えられたパイナップル
植林用に育てている苗木
苗木を管理する地域住民
「カーボンプロジェクトサイトにつき、動物の放牧や火入れ禁止」の看板
フィリピン ルソン島最大河川のカガヤン川
コーン畑に隣接する植林予定地
地域住民による植林作業
成長した植林木
森林モニタリングの様子
プロジェクト参加者のラモス兄弟
山間部に住む先住民のドゥマガット族
植林地パトロールの様子

活動地域概要

地域名
フィリピン キリノ州
協定開始時期
2009年~
実施パートナー
PEDAI、People Organization(DSAFA,STISFA,SUBEFO)、Consevation International、DENR(環境天然資源省)、キリノ州、マデラ町、ナグティプナン町
カーボン・オフセットクレジット
VCU(Verified Carbon Unit)
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