土佐のチベット

県土の約8割が森林におおわれ、森林率日本一を誇る高知県。雄大な四国カルストに抱かれ、四万十川（しまんとがわ）の源流部に位置する梼原町（ゆすはらちょう）は、気象条件が整えば眼下に雲海を望めることから、「雲の上の町」とも呼ばれています。平地が少なく傾斜が強い地形を活かした美しい棚田や、坂本龍馬脱藩の地としても知られています。

梼原町は、林業はもちろん、森林セラピーや木質バイオマス、風水力発電などの自然エネルギーへの取り組みも盛んで、2009年には内閣府の環境モデル都市に認定されました。また、梼原町森林組合は、日本の団体としては初めてFSC認証（※）を取得しています。

木材にとどまらない新しい「森の恵み」の創出に力を入れてきた町と、私たちの森づくりの理念が共鳴し、「more treesの森」プロジェクトは、ここ梼原を第一号としてスタートしました。

森の豊かな水源を守っているのは、町を南北に流れる梼原川。清流・四万十川の源流の一つです。ダイナミックな高低差を活かした水力発電をはじめ、水産資源の宝庫です。

森の恵みは、町づくりにも活かされています。建築家・隈研吾（くまけんご）氏が設計を手掛けた「雲の上のホテル」や「梼原町総合庁舎」など、地元の木材を使用した美しい建築物は、町の大きな魅力のひとつになっています。

※FSC認証…森林管理協議会（FSC：Forest Stewardship Council）が、森林とその森林から生産される木材などの流通や加工のプロセスを評価し、認証する制度。環境、地域社会、経済等に考慮し、持続可能な形で適切に管理された森林から生産された木材などに与えられる。