熊本県 小国町
阿蘇北麓の名湯とスギの町
熊本県の最北端、阿蘇山(あそさん)の外輪に位置する小国町(おぐにまち)は、夏は比較的涼しく、冬は積雪をともなって厳寒となります。気候や土壌などがスギの生育に適しており、町の林業は、江戸時代にさかのぼって約250年の歴史があります。明治以降も積極的に造林が進められ、林業や製材関連の産業が町の経済を支えてきました。
町内の森林の多くはSGEC認証(※)を取得していて、山から伐り出すところから利用者のもとに木材として届くまでのトレーサビリティを確保しています。また、大切に育んだ質の高い木材の積極的な活用を促すために、森林組合・製材所・市場・工務店など、事業者が一体となって取り組んでいます。名産の「小国杉」は、熊本空港の天井や町の体育館など、大型木造建築物にも活かされています。
小国の町には、樹齢1300年以上といわれる国指定天然記念物「阿弥陀杉(あみだすぎ)」や、小国富士と呼ばれ地域のシンボルでもある「湧蓋山(わいたさん)」などの見どころがあります。「more treesの森」がある「一目山(いちもくさん)」には、風力発電用の風車が建てられており、山々と大空に映える壮大な眺めが広がります。また赤牛などの畜産、ジャージー牛乳や乳製品などの酪農も盛んで、町の特産品にもなっています。
また、開湯から1800年、弘法大師も立ち寄ったとのいわれがある名湯「杖立(つえたて)温泉」をはじめ、温泉源が豊富にあります。周辺の集落では、あちこちから上がる湯けむりに包まれ、独特の景観を生み出しています。
温泉源の地熱は、木材の乾燥工程にも活用されています。化石燃料を使わずに木材を乾燥するのは全国でも珍しい技術で、緩やかに乾燥させることで木材への負担が抑えられます。そのため、建材に非常に適した状態になるだけでなく、木本来の色や艶も保たれます。小国の自然が育んだ良質なスギを、小国の自然の力でより良質な木材にしているといえます。
※SGEC認証…(Sustainable Green Ecosystem Council)林業団体、環境NGO等により発足した「緑の循環認証会議」による森林認証システム。国際的な基準を用いながら、日本の森林実態に合わせ、持続可能な経営を行っている森林に認証を与えることで、日本の森林管理のレベルを向上させ、豊かな自然環境と木材生産を両立する健全な森林育成を保障している。
- 地域名
- 熊本県 小国町
- 協定開始時期
- 2010年4月~
- 実施パートナー
- 小国町、小国町森林組合
- カーボン・オフセットクレジット
- J-VER / Jクレジット