more treesについて

more treesのビジョン

moretreesのはじまり

一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)は、 音楽家 坂本龍一が創立し、建築家 隈研吾が代表を務める森林保全団体です。
加速する森林破壊と地球温暖化の危機的状況に行動を起こすために、坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、中沢新一、桑原茂一の5名が発起人となって、100名以上の賛同人とともに2007年に設立されました。

「人類は森とともにありました。
森が崩壊したところでは文明が滅んでいきました。
今、世界中で森林が崩壊しています。
これは人類文明全体の滅びへの警告と
言えるのではないでしょうか。」

坂本の創立メッセージはこうはじまります。

人類にとって欠かすことのできない森を大切にしていきたい。後々の世代へと受け継いでいきたい。立場や考え方の違いを超えてポジティブに響く「more trees」という名のもとで、私たちの活動ははじまりました。

国内外の森の現状と課題

世界では森がどんどん消失しています。1990年から2020年までの30年間で日本の面積の約5倍の森林が地球上から失われました。特に問題となっているのが、豊かな生物多様性を支える熱帯林の減少です。
熱帯林が地球の陸地に占める割合は7%に過ぎませんが、地球上の全生物種の半分以上が熱帯林に生息していると言われています。また、熱帯林は地球上の酸素の供給源でもあり、かつ地球温暖化の要因のひとつである二酸化炭素の吸収源としても重要な役割を果たしています。「生物多様性の宝庫」であり「地球の肺」でもある熱帯林の消失は多くの生物の生存を脅かし、私たち人間も例外ではありません。
熱帯林減少の大きな原因は、人間の経済活動です。木材の利用を目的とした商業伐採、パーム油生産などに使う農地(プランテーション)や牧草地への転換を目的とした開墾、そのために行われる野焼きが引き起こす森林火災、石炭をはじめとした資源採掘などにより、1秒間にテニスコート15面分もの森林が消失しています。こうした経済活動によって生産された商品は、海を越えて私たちの生活に深く浸透しています。

一方、日本は国土の約7割が森林に覆われる森林大国です。森林には自然の力で育った「天然林」と人が植えた「人工林」があり、日本の森林のうち天然林は5割強、人工林は約4割。戦後の木材不足により国によってスギやヒノキなどの植林が推進されたことで、この100年間で人工林を中心に日本の森林面積は増加しました。
しかし近年生活スタイルの変化によって木材需要が減少。林業が低迷し、担い手不足もあいまって、人工林のなかには適切な手入れが充分になされずに健やかさを失っていく森が増えています。戦後に植林した木は収穫期を迎え各地で伐採が行われていますが、収穫後に植林されないままの森も増えてきています。
また、日本にはもともと主要な樹木が500種類以上あるといわれています。ところが現在はスギとヒノキの2種類のみで人工林の約7割を占めるまでになっており、森林の多様性が失われている状態です。

森がもたらすもの

地球上のどこに暮らしていても、人は「森の恵み」を受けて生きています。森の恵みは、木材などの「もの」だけではありません。
森林が社会にもたらす恩恵を「機能」として考えると、森林は実に多様な機能を持ち、人々の豊かな生活を支えています。

生物多様性保全
さまざまな生命が育まれ、生物多様性が保たれる。
地球環境保全
大気中のCO2を吸収して地球温暖化を緩和する。
土砂災害防止・土壌保全
木々が根を張ることで土壌を斜面につなぎとめる。土壌の表面を覆う落葉・落枝や灌木、下草等によって、降雨時の土壌の流出を抑える。
水源涵養
土壌が雨水を蓄えて洪水や渇水を起こりにくくする、地中で水を浄化して美しい水を供給する。
快適環境形成
防風や防音、樹木の樹冠による塵埃の吸着、ヒートアイランド現象の緩和など、生活環境を快適にする。
保健・レクリエーション
安らぎや癒しなどの効果を与えてくれる。
文化
景観や伝統文化、地域風土を形成している。
物質生産
木材、きのこ、タケノコなどの食料、肥料などを生み出す。

ここに挙げきれないほど多くの森林の働きによって、私たちは生かされています。
生命を育み、風土を生み、暮らしを支える森は、あらゆる生き物にとってかけがえのない拠りどころです。

more treesの活動理由

気候変動や生物多様性の危機など、森林の減少や劣化がその一因といえるさまざまな問題を肌で感じるようになりましたが、問題の複雑さから、解決は一筋縄ではいきません。

技術の進歩や経済の発展により便利で快適な生活が手に入った一方で、私たちの多くは森との関係性を見失いつつあります。このままでは私たちは大切な拠りどころを失いかねません。

問題を乗り越え、森と人がずっとともに生きられるように。
そして、人が森からずっと恵みを受けられるように。

「森と人がともに生きる社会」の実現。
そのために、私たちは長期的な視野を持ちながら、いまできることを探し、考え、実践しています。

森づくりのパートナー

各地域の行政機関、財団、森林組合、林業家、職人、住民の方々をはじめ、
専門家やご寄付をいただいている企業、個人の皆さまと協働で森づくりに取り組んでいます。

地域で暮らす人々
地域で暮らす人々
都市で暮らす人々
都市で暮らす人々
子どもたち
子どもたち
林業家・種苗家
林業家・種苗家
職人
職人
専門家
専門家
行政
行政
森林組合
森林組合
企業
企業
NGO
NGO
教育・研究機関
教育・研究機関
ショップ
ショップ

more treesが大切にしていること

「森と人がずっとともに生きられる社会」を目指す道筋はいくつもありますが、
more treesは次の6つのことを大切にしています。

高い専門性と地域に合わせたアプローチ

高い専門性と地域に合わせたアプローチ

植林面積や本数だけを重視するのではなく、地域のビジョンや実情に合わせ、科学的な知見も取り入れながら森づくりをおこないます。

社会全体へのポジティブなインパクト

社会全体へのポジティブなインパクト

生物多様性保全や二酸化炭素の吸収などの森林が持つ多面的機能の回復を目指し、自然も人間の暮らしも豊かになるようなポジティブなインパクトをもたらします。

さまざまな業種やセクターとの協働

さまざまな業種やセクターとの協働

基礎自治体、県や国、協賛企業、林業事業体や地域住民、専門家など、林業に限らずさまざまな業種やセクターと協力して森づくりに取り組みます。

森と人を活かすクリエイティビティ

森と人を活かすクリエイティビティ

クリエイターやアーティスト、地域の職人とコラボレーションし、木材や人のあらたな可能性を引き出すような魅力的なプロダクトや空間をプロデュースします。

都市と森をつなぐ仕組みづくり

都市と森をつなぐ仕組みづくり

植林のみならず、現地ツアーやイベントの開催、国産材を活かしたプロダクト開発などさまざまな方法で都市と森をつなぐ仕組みをデザインします。

未来へとつなげる森づくり

未来へとつなげる森づくり

長い年月をかけて育つ森の時間に寄り添い、50年、100年、あるいはその先まで見据えて、先人から受け継いだ森を次の世代へ手渡していきます。

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