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鋏を鍬に持ち替える美容師たち。高知県中土佐町でTRACE様のツアーを行いました


10月28日、高知県中土佐町でTRACE様のツアーを開催しました。関西でヘアサロンを3店舗展開するTRACEでは、同社が加盟する「1% for the planet」の取り組みにより年間収益の1%をmore treesにご寄付いただいています。また、more treesの法人参加型森づくりプログラム「企業の森」の一環で、2022年より奈良県天川村で「TRACEの森」を展開し、2024年からは今回の訪問地、高知県中土佐町でも森づくりに取り組んでいただいています。

■意外すぎる森での歓迎

ツアーには24名の社員のみなさんとお子さん2名、計26名に参加いただきました。バスを降りて森の入口を歩いていくと、視界の先になにやらもくもくと白いものが。

白いもくもくの正体は、「しまんとターキー(七面鳥)」を焼く煙でした。実は中土佐町は、国内にわずか3カ所しかない七面鳥の産地のひとつ。「大阪からはるばる中土佐町へ来られたTRACEのみなさんにぜひ召し上がってほしい」と、中土佐町大野見地区を拠点に活動する大野見七面鳥生産組合の松下商店様が焼き台をかついで森へ駆けつけ、串焼きを振舞ってくださったのです。

七面鳥というと欧米のクリスマスや感謝祭のお料理というイメージがありますが、意外にも日本での歴史は古く、オランダから日本に伝えられたのが江戸時代。明治時代には国賓を迎えた宮中晩餐会に七面鳥の料理が振舞われ、昭和天皇即位の礼で七面鳥の炙り焼が提供されたという記録も残っているそうです。戦後は日本各地で飼育が広まったものの、いま国内における七面鳥の産地は北海道滝上町、石川県輪島市、そしてここ高知県中土佐町のみになっています。

▲笑顔が爽やかな松下商店の松下昇平さん。トライアスロンの現役アスリート時代に七面鳥に出会い、高たんぱく低脂肪な食材としての七面鳥に魅せられたそうです。その後、偶然にも七面鳥にかかわる仕事があることを知って中土佐町へ移住。地域の文化を継承しながら「しまんとターキー」を全国に広げたいと情熱を燃やしています。オンラインでも購入ができます。

しまんとターキーのジューシーな味わいを堪能して、腹ごしらえもばっちり。このあとはいよいよ記念植樹です。

■重力を感じながら

まずは植樹する場所まで歩いていきます。

先頭をゆくのは、このあたりの山を知り尽くした須崎地区森林組合の方。背負っている大きな袋にはこれから植える苗木たちが入っています。足元に気をつけながらTRACEのみなさんも後をついていきました。

はじめに森林組合の方が植え付けの実演をしてだいたいのポイントを掴んでいただいたあと、3グループに分かれてクヌギ・アラカシ・ウバメガシ・クリの4種類を植樹していきました。

ご覧のとおり、苗木を植える場所は勾配がなかなかきつい斜面。穴を掘り、苗木を植え、しっかりと踏み固める、そのひとつひとつの動作にどっと重力を感じながら、体のバランスをうまく取って作業をしていきました。すぐそばで森林組合のみなさんがサポートしています。

普段はヘアサロンで働くみなさんの仕事道具といえば鋏(はさみ)ですが、ここでは鍬(くわ)に持ち替えての山仕事。サイズも重さもちがう道具を手に持ってよいしょ、よいしょと穴を掘り、お子さんも一生懸命植えてくれました。
無事に植樹が終わりました。見ているだけでこちらが元気をもらえるほど、みなさんいい表情をされていますね。「TRACEのみなさんは本当にいつも楽しそうなんですよ!」ツアーに同行したmore treesスタッフが後日嬉しそうに感想を話していました。


■地域のおもい、企業のおもい、お客様のおもい

最後に、今回のツアーに関わられた方々の言葉をご紹介します。 須崎地区森林組合 代表理事組合長 細木啓延さん(写真左)
「人口が減り、木の利用も減っています。それでも私たちは、未来のために持続可能な森林と林業の循環を目指しています。そこには町外からの協力も必要不可欠です。今日は多くのみなさまが参加してくだり感謝しています」

TRACE Executive Director 木村良成さん
「TRACEは人を相手にする会社であり、人と自然は切っても切れない関係にあります。普段の仕事とはちがう自然のなかで、スタッフひとりひとりがいろいろなものを感じ取る1日になればと思います。そして環境問題についても関心を持ち、未来のためにみんなで力を合わせていきたいです」

中土佐町長 池田洋光さん(写真中央、黄色いヘルメット)
「向こうに見える、50年前に植えられたヒノキ。一本伐って3mに造材して、いくらになると思いますか?わずか数百円です」 

町長のこの言葉は、TRACEのみなさんにとって大変な衝撃だったようです。同時に、木について興味を広げるきっかけにもなったようで「木を使った製品を選ぶとき、どうやったら木の産地や種類が分かりますか?」というご質問も出ました。木製品を購入する際、産地や種類の情報を得るのはまだまだ難しい現実がありますが、森に足を運び、地域の方々と交流することで、木への親しみや好奇心が生まれる。そんなワンシーンでした。

2日間のツアー後、大阪に戻ったTRACEのスタッフの方よりメールをいただきました。

「お客様からお預かりした売り上げの1%を寄付することで、環境に関するお話をスタッフがお客様とする機会も増えました。植樹のこと、木のこと、高知のこと――実際にわたしたちが体験してきたことをお話しすると、TRACEを通じて一緒に森林保全に関わっていると実感し、喜んでくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。髪を切れば切るほど木が増えるって、面白いですよね。」

more treesの活動のキーワードは「都市と森をつなぐ」ですが、TRACEの森は「髪と森をつなぐ」。そんな新しいつながりを育みながら、これからも「TRACEの森」づくりを進めてまいります。

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※独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金の助成(一部)を受けて実施しました

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