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新スタッフ遠藤くん考案のスマホログも導入。岩手県住田町で生育調査と種採りをしました


9月30日・10月1日の2日間、岩手県住田町で植林地の生育調査と種採りを行いました。作業には、現地の森づくりパートナーである気仙地方森林組合、一般社団法人邑サポート、住田町役場のほか、住田町で「企業の森」プログラムをご一緒いただいている株式会社メンバーズ様の社員2名も参加。また、有識者として樹木医の佐々木理史さんをお招きしてご指導いただきました。


■1日目はせっせと生育調査

9月30日は、9時~16時半のあいだに2つの植林地を回って生育調査に専念。2021年より植林を進めている箱根峠(株式会社ユナイテッドアローズ様、三井住友カード株式会社様と協働で実施)と、2023年より植林を進めている六郎峠(メンバーズ様と協働で実施)の2カ所で計7つの調査区を設定し、6名(途中から7名)で植林木の樹高調査や天然更新の状況を確認していきました。

▼箱根峠の生育状況
獣害対策として苗木を1本ずつ保護する「ツリーシェルター」の調査区では、全体の7割程度が活着していました。なかでもエゴノキやヤマボウシは生育がよかったです。ハルニレやカツラは食害と乾燥の影響が出ていました。小規模なエリアを柵で囲う「パッチディフェンス」の調査区でも7割程度が活着していて、オオヤマザクラやエゴノキの生育が良好でしたが、クロモジやヤマハンノキの生育は悪い状況でした。

▼六郎峠の生育状況
ひとつの調査区単位で見ると8割程度が活着していて、全体的に生育は良好でした。個別の樹種を見ると、ヤマハンノキとカエデ類の活着がやや悪かったです。一方、オオヤマザクラやヤマハギは他の樹種に比べて生育がよい(樹高が伸びている)状況でした。

■2日目はどっさり種採り・たっぷり種処理

10月1日は、箱根峠の植林地周辺に残っている天然林で種採りをしました。みな夢中で種を採り、終わってみれば18種類の種が集まりました。

▼高木・小高木10種
ミズナラ、クリ、アカイタヤ、ヤマモミジ、ハウチワカエデ、アオダモ、サワシバ、イヌシデ、シナノキ、ハクウンボク

▼低木8種
ガマズミ、ミヤマガマズミ、オオカメノキ、ツノハシバミ、マユミ、カマツカ、ムラサキシキブ、サワフタギ

種採り後は、地域の方々とともに苗木を育てているイコウェルすみたへ移動。樹種ごとの処理方法などを佐々木さんにご指導いただきながら、ひとつひとつ処理を進めます。その日のうちにすべての処理を終えられないほどの大豊作でうれしい悲鳴を上げつつ、処理が終わった種はイコウェルすみたの苗木園で播種しました。時間内に終わらなかった分は後日邑サポート様が中心となり、地元の小学生や住田高校の生徒たちとともに種まきの作業を進めていただきました。

来年の春に芽吹いた種は苗木として育て、いずれは箱根峠や六郎峠のような住田町の山に植える予定です。


■デジタル隊長 遠藤くんの作業改革

以上が2日間のダイジェストですが、今回の生育調査では調査した結果のあらたな記録方法として「スマホログ」が導入されたのでそちらもすこしご紹介します。

7月にmore treesの仲間入りをした新メンバー遠藤くん考案の方法で、電波の入らない場所も多い植林地でもオフラインで操作でき、かつ使うのはスマホという身近な道具だけ。樹種の情報や生育状況はプルダウンの選択式、樹高や特別なメモのみ手入力すれば済むというシンプルさながら、個別のデータは自動的に集計されグラフ化されるので生育状況をぱっと把握できるという優れものです。

これまで手入力していた作業が大幅に効率化された結果、1日で従来の倍以上の作業を行うことができました。more trees デジタル隊長(勝手に命名)遠藤くんの作業改革に、ほかのメンバーも大喜び。今後の生育調査でもどんどん使っていくべく、ただいまさらなるバージョンアップを進めているところです。

▲手前でオレンジヘルメットをかぶっているmore treesの宮﨑がスマホで入力しています

また、この日遠藤くんは箱根峠の植林地内に定点カメラ(動体検知式)を設置していました。数百本、数千本の苗木を植えても、大半を動物に食べられてしまえば労力も水の泡。さまざまな生き物が暮らす森だからこそ苗木を守る獣害対策は大切ですが、実際にどんな動物がどういった行動をとっているのかはさまざまな痕跡から推測するしかありませんでした。そこで森にカメラを設置し人気のない森の様子を映像に収めることで、生き物たちの動きを知り、獣害対策をよりブラッシュアップしていこうという目論見です。

カメラの回収は2週間後。朝も晩も24時間回しっぱなしの映像を見てみると、何度も鹿が映っていました。子鹿も含めて一家総出の姿もキャッチ。今後の対策の参考になる映像となりました。

こうしたテクノロジーもうまく活用しながら、地域の方々や専門家、そしてご支援いただいているみなさまと連携し、土地の風土に根ざした森づくりをこれからも進めてまいります。遠藤くんの奮闘記もまたご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

▲more treesの渉外として各地を飛び回る遠藤くん(左)

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