樹齢250年の廃棄物にあらたな道を。4社のラリーで生まれた卓球ラケット端材の再生。
温泉宿のお楽しみからトップアスリートによる白熱のラリーまで、さらに最近はオフィスのコミュニケーションツールとしても愛される卓球。その場に欠かせない道具といえば「卓球ラケット」ですが、木製ラケットの製造過程で出る端材はゴミとして捨てられる運命にありました。端材をどうにかできないか。廃棄物を救った上に、木製ラケットのルーツといえる森林の保全にも貢献できたら…
そうした思いから手を組んだのが、日本卓球株式会社、株式会社シモジマ、株式会社兵左衛門、そしてmore treesの4社です。
ニッタクの愛称で知られる日本卓球は創業1920年(大正9年)。卓球ボールの製造からはじまり100年以上の歴史を刻みながら、世界で活躍するラバー・ラケットなどのギアや卓球台、アパレルなどの企画・開発・製造・販売を手がけてきました。ニッタクの卓球ラケットに使われているのは樹齢250年以上の木曽ヒノキなど、貴重な木材です。ただ大きな丸太からラケットを造る際に、どうしても端材が出てしまうことが長年の悩みでした。
ニッタク創業の翌年、1921年(大正10年)に産声をあげたのが、福井県小浜市に本社をかまえる老舗箸メーカー 兵左衛門です。「お箸は食べ物です。」をモットーに口に入れる端先部分には100%天然の漆のみを使用し、漆職人であった創業者・浦谷岩蔵から受け継がれてきた職人の心と技で素材となる木も厳選。お食い初めからお骨上げまで箸と共にある日本の箸文化の担い手として、使い心地のよい箸を手作りしています。また、more treesのオリジナルプロダクト「枝みたいなお箸・石ころみたいなお箸置きセット」の作り手でもあります。
▲more treesの活動地のひとつ、北海道下川町産のクルミ(濃茶)・タモ(薄茶)を使用し、ひとつひとつ兵左衛門の職人の手作業で生み出されるお箸とお箸置き
包装資材の専門商社シモジマは、紙製品を扱う企業として森林保全に積極的に参加すべきとの思いから、さまざまなかたちでmore treesと協働し森林保全活動に取り組んできました。シモジマグループとして利益の一部をmore treesへご寄付いただいているほか、クライアントが希望した場合に同社製造の製品に寄付を付加する取り組みも実施。さらに、「企業の森」プログラムを通じて、三重県大台町での「多様性のある森づくり」もご一緒しています。
▲三重県大台町で多様性のある森づくりを進める「シモジマの森」
卓球ラケット端材のお悩みを耳にしたシモジマは、more treesを通じた森林保全活動をニッタクに紹介。more treesはお箸づくりでご縁のあった兵左衛門をご紹介し、端材をお箸・箸置きのセットとして再生させる取り組みが実現しました。ちなみに、シモジマの創業も1920年(大正9年)で、ニッタク・兵左衛門・シモジマは三兄弟のよう。大正・昭和・平成・令和と時代が移り変わるなか、森づくりのように長い年月をかけて現在にいたる三社とご一緒できたことは、more treesにとっても大変うれしい機会となりました。
▲お箸とケースにはmore treesの森林保全活動への寄付をあらわす『Nittaku FOR more trees』の刻印が入り、卓球台をイメージしたお箸置きは、ミニチュアのピンポン玉で遊びたくなるほどかわいらしい姿です
今回生まれたお箸・箸置きのセットは、今後ニッタクより国内外で販売される予定です。また取り組みを通じてmore treesへいただいたご寄付は「多様性のある森づくり」の活動に充て、卓球ラケットのふるさとである森を守り育ててまいります。
250年を生きた樹木のいのちを、日本文化とつなぎ、未来の森へとつなげていく。4社が手を組んでつなげたラリーは、遠い未来まで届く音色を響かせています。
more treesでは、国産材活用に限らず、既存樹や端材のアップサイクル、未利用材の有効活用など、木を使ったさまざまな企画・開発・製造のお手伝いをしています。詳しくは下記までお気軽にお問合せください。