【コラム】フィジー③
フィールド調査から一転して、フィジーの首都、スバにて関係各所をまわってのヒアリング。
主に環境省、森林省、土地省の政府機関と、大学、NGOを重点的にまわりました。
ちょっと感動したのが、森林省のディレクターがCDMだけでなく、ボランタリーマーケットの存在、さらにはREDDのことも知っていたこと。
CDMプロジェクトはこれまで1200件ほど国連に認可されているが、承認された植林系のプロジェクトはたった1件。これは政治的、制度的要因があるわけですが、とにかく森林系にとって、CDMのハードルは必要以上に高いのです。
そこで注目されているのがボランタリーなスキーム。
現時点でVCS(Voluntary Carbon Standard)やVER+、CFS(Carbon Fix Standard)など、いくつかの民間主導のスタンダードが存在し、その中でVER(Verified Emissions Reduction)が発行されているわけです。
CDM(CER)にしろ、VERにしろ、とにかく森林系のプロジェクトを進める上でかなり重要なのが、
「土地適格性」の問題。
これは「プロジェクトを実施する時点から過去50年間、一度も森林でなかった場所」か
「1989年12月31日時点で森林でなく、かつプロジェクト開始時点も森林でない場所」
という条件が必要とされているということです。
まず森林省で、そのことを証明する必要性を訴えたところ、ディレクターもその件は承知していて、すぐにデータベースがあるオフィスを紹介してくれました。
データは改めて入手することになったものの、過去の土地利用履歴があることが判明!
また土地省でも、過去の航空写真を購入。見たところ、94年の時点ではプロジェクト適地であろうことも判明!
また、もうひとつ重要なのが土地の所有権の問題。
途上国では、国有地であっても違法に移住や開墾をして居住していたり、所有権があいまいのケースがしばしばあるわけで、所有権をあらかじめはっきりしておく必要もあります。
いろいろ調べた結果、陸地は土地省の管轄であるが、海の場合は現地で「ゴリゴリ」と呼ばれる、地元漁民が保有する伝統的漁業権が重んじられることも判明。
つまり、地元住民の同意を得て、文書を政府に提出することで、汽水域での植林についても権利が明確化することが分かりました。
フィジー滞在も残すところあとわずか。
引き続き調査しつつ、カウンターパートとのやり取りを進めたいと思います。
水谷